• テキストサイズ

【彩雲国物語】彩華。

第4章 彩花。



 ふわりと抱きしめる。
 「あぁ、私の息子だわ、なんていい男になったのかしら」
 「っ~貴方は⋯っ!」
 「四年も経っていたなんて知らなかったの」
  ふと、額に手を当てる静蘭。千代は熱かった。驚く程に。
 うっとりとするような千代を見て胸がざわつく。
 「母上⋯」
 「今日は少し熱っぽいのよ、少しね」
 「今までここに居た、という訳でも無さそうだな」
 「彼女を見つけたのは数ヶ月前ですよ」
 月がぐいっと腰を寄せる。その仕草に眉を下げて見上げる。

 「⋯⋯千代」
 「千代⋯⋯⋯⋯⋯戻ろう」
 旺季が重々しくその言葉を吐き、千代は理解する。私の役目をしなくては行けないのだと。
 
 目を細めて、微笑む。
 悲しげにした唇を噛む旺季を見上げた。
 「私は大丈夫、大丈夫ですから。そんな悲しげにしないで下さい」
 静蘭を抱き抱え大きくなった息子に、父親の面影を見つけ苦しくなる。
 あんなにもこんなにも愛して止まないのになぜ。
/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp