第4章 彩花。
ふわりと抱きしめる。
「あぁ、私の息子だわ、なんていい男になったのかしら」
「っ~貴方は⋯っ!」
「四年も経っていたなんて知らなかったの」
ふと、額に手を当てる静蘭。千代は熱かった。驚く程に。
うっとりとするような千代を見て胸がざわつく。
「母上⋯」
「今日は少し熱っぽいのよ、少しね」
「今までここに居た、という訳でも無さそうだな」
「彼女を見つけたのは数ヶ月前ですよ」
月がぐいっと腰を寄せる。その仕草に眉を下げて見上げる。
「⋯⋯千代」
「千代⋯⋯⋯⋯⋯戻ろう」
旺季が重々しくその言葉を吐き、千代は理解する。私の役目をしなくては行けないのだと。
目を細めて、微笑む。
悲しげにした唇を噛む旺季を見上げた。
「私は大丈夫、大丈夫ですから。そんな悲しげにしないで下さい」
静蘭を抱き抱え大きくなった息子に、父親の面影を見つけ苦しくなる。
あんなにもこんなにも愛して止まないのになぜ。