第4章 彩花。
雪と、花が立っていてこみ上げた不安感と記憶にぎゅっと月を抱きしめた。
「ど、う、して」
「千代、君は一度もここには来なかったね、そして、初めて私達に会いに来てくれた。待ってたんだよずっと」
「な、ん、で?」
「ずっと、知っていた、ずっと」
「っ!」
「君の心はまだ、空っぽのままだ。玉華が心配していたのは本当さ、だからもう少し君を隠しておきたかったんだけどね、迎えが来ているんだ」
「む、かえ?」
「王ならまだしも、君の愛する子供達と私たちの尊敬する人にはね嘘をつけないよ」
千代は首をかしげた。
月に抱き上げられ目を丸くしていると、そっと頬を撫でられる。
「千代、君はこの世界のものになったんだ。疲れたら疲れたと悲しければ悲しいともっと言ってほしい」
そう言って寝間着を脱がされ服を着させられる。藍色の服。私が気に入っていた、美しい深い藍。
泣きながら頷くと、玉華が髪の毛を結ってくれる。
月はふらつく私の手を取り、腰を支えてくれていた。騒がしい客間まで。
「化粧、本当にいいのかしら」
「良いんだよ、君はもう人では無い、そして、隠れる必要もない。」
「びっくりしてしまうわ」
「させてやればいい」
くすりと笑う月にほだされ、そろりと顔を出す。
そこには驚く。
「ま、まぁ!」
「は、母上!」
「千代!」
「姉上!」
「千代!!」
驚いた。
静蘭に旺季、邵可に栗花落が居た。
千代の姿をみて四人は驚いていた。
照れたように頬を触れて月を見上げていた。
「ご、ごめんなさいね、心配、かけましたね」
「皆さん座ってください、千代は椅子よりソファーだよ。倒れたら困るからね」
「はい、はい」
足がもつれると、ぎゅっと支えられそろりとソファーに腰掛ける。
月が隣に座ると、ゾロゾロと周りに集まる。
「静蘭、ごめんなさいねまぁまぁ、ずいぶん大きくなって」
そりゃあそうだろう!と旺季は怒鳴っていた。4年の月日だぞ!と、千代は目をぱちくりさせていた。
そんなに経っていたのかと。
「知らなかったんですか」
隣に静蘭を座らせると、まじまじと顔を見つめくすくす微笑む。