第10章 彩稼。
「⋯⋯⋯⋯瑠花の娘だ」
「瑠花姫に娘⋯?」
「千代と言う」
目を見開き、震えていた。
「なにか、話したのか⋯?」
「病人と言うからな、良く分からぬ事を申すから宥めてやった、子供のように強請るから褒めてやっただけだ。」
「えっ⋯⋯あ、ああ、そう、か⋯怒らなかったんだな」
栗花落は震えた身体を掴み、笑顔を見せた。
「千代は、喜んでいたろう」
「⋯知るか」
「⋯⋯分かるよ、あの子はきっと涙を流しながら喜んでいたろうね、ありがとう戩華⋯すまない、戩華⋯⋯先に戻っててくれ、瑠花姫に話がある」
「⋯お前は千代という奴を知っているのか」
「あぁ、知っている。お前の官吏で、お前が馬鹿になるほど愛した妃だ。」
戩華と栗花落の胸に飛び込むの。
良くやった。
そう褒めてくれるから嬉しくて胸がいっぱいで溢れる涙を二人が拭ってくれる。
何千年の旅が終わって、何百年の悲しみが終わって私は深く安心する。
あのね、戩華、栗花落様。
そう話を切り出すと二人は笑顔で聞いてくれる。
今は休めと栗花落様に言われて膝を借りて眠る。
ほら、戩華が幸せになれば私も幸せになれた。
今はとても。
自由になれた気がした。
蒼姫が武官として宮廷に入ったのは翌年。
劉輝と戩華の反対を押し切っていた。
静蘭と栗花落はおかしくてなっていた。