第10章 彩稼。
まるで、母を失くした子供たちのようで眉間を寄せる。
あれほど、栗花落は二人を愛した。
なのに何を?
千代が母?
何だこの不愉快でザワザワとする心。
「瑠花、千代はどうした」
ドクッと脈打つ。
旺季は眉間を寄せていた。
蒼姫に寄り添う瑠花は顔を上げて旺季を睨む。
「戩華が、千代を褒めたんじゃよ、妾が悪い、目を離したからな」
「⋯な、っ!蒼姫!静蘭、大丈夫だ。」
枯れ草のような二人と共に泣いていた旺季。
「戩華、帰ってくれぬか。栗花落姫がお前を案じておるじゃろう。帰ってくれ」
悲しみに暮れている屋敷。
娘を置いて、ただ、呆然と屋敷を出た。
門を出ると、栗花落が立っていた。
真っ青な顔をして。
ごくりと、喉を鳴らしていた。
「せ、戩華⋯お前、この屋敷で誰に会っていたんだ?」