• テキストサイズ

【進撃の巨人】ジャン・キルシュタイン

第2章 出会い







女のその言葉で、俺はあの痣が誰に付けられたのかを、何となく理解した。



親?

兄妹?

それとも恋人?



ここに来た経緯は覚えていなくとも、自分の家がどんな場所なのかは覚えているみてぇだ。



なんにせよ、ミサキのこの姿を見て、そんな酷でぇとこには帰らさせる訳にはいかねぇ。



さっき出会った、不審者極まりない女相手に、俺はなに考えてんだかな。



どうしちまったんだ、俺。



「分かった。帰らせねえ。でも、お前を隠す事は出来ねぇから、今から行ったところにいる人間には、お前は名前以外何も覚えていない事にしろよ。」



宥めるように言うと、ミサキはビックリしたような顔をして俺を見た。



栗色の大きな瞳からは涙が止まり、俺と酷似した色の、女の長い髪を、風がサラサラと流す。



どれが正解かなんて俺には分からねぇけど、何故か放っておけねぇんだ。



「あと、ここは訓練所だ。同じ訓練兵になるんだったら、家には帰る必要ねぇよ。俺も極力は庇ってやるから安心しろ。」



そうは言ってはみるものの、俺に出来る事なんか雀の涙程度だけどな。



自嘲気味に目を細めて笑うと、ミサキの温かくて小さな手が、再び俺に触れた。



『ありがとう……ジャン』



/ 68ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp