第28章 forever
《智side》
涙でグショグショに濡れた翔の頬を手のひらで拭った。
「どうした?」
顔を上げた翔の顔を見つめもう一度聞いた。
俺の顔を不安そうに見つめる翔の瞳からまた涙が溢れてきた。
「とりあえず服着ろ、暖かくなってきたとはいえまだ夜は冷える。風邪引くぞ?」
肩を掴んでいた手に力をこめ立たせようとすると翔は腕で足を抱え込み、首を横に振る。
「翔…」
こんなに頑なに俺の言うことを聞かない翔も珍しい。
翔をこんなにも泣かせる原因は一体何なんだ?
「翔…言わなきゃわかんないよ…前にも言っただろ?気持ちを押し込めるなって。
どんなことでもちゃんと聞くから話せ」
丸まったままの翔をそっと抱きしめた。
「…キスマーク…」
やっと聞き取れるような小さな声が聞こえた。
「キスマーク?」
「さっき潤に付けられたキスマーク見たら…自分が汚れた気がして…今まで智さんにしか付けられたことなかったのに」
そっか、自分の身体にキスマークが付いてるの気が付いてなかったんだ。
俺は翔を助け起こしたときに目に入ったけど、自分の身体は自分で見えないもんな。
「大丈夫だよ、翔はそんなことで汚れたりしないから」
「でも…智さんにさえこんなにはっきり付けられたことないのに」
確かにだいぶ色は濃い…キツく吸われたんだろうな。
「それに…キスも……一生智さんの唇しか知らなくて良かったのに…」
これだから相葉が守りたくなるんだよな。
生涯ひとりだけなんて…今時そんな風に思う人間激レア物だぞ。
「翔…そう思ってくれてるだけで十分だよ?その気持ちでいてくれる限りお前が穢れることはないから」
そう言うと翔はすがるような目で俺を見つめた。