第28章 forever
《翔side》
脱衣場に入ってシャツを脱いだ。ふと鏡に写る自分の身体を見て愕然とした。
首筋から胸の辺りにかけてくっきりと残るいくつかのキスマーク…
さっき潤に付けられたんだ。智さんにだってこんな色濃く付けられたことないのに…
この首筋のやつ…絶対智さんの目にも入ってるよね。
智さん以外の人に付けられたキスマークを智さんはどう思って見てるんだろう…
もう触れたくないとか思われたらどうしよう…
嫌わないって言ってくれた言葉を信じてるけど、もしこの身体を見て気が変わったら?
自分が犯したミスが悔しくなってきた…
智さんの唇しか知らなかったのに…一生、智さんだけで良かったのに…自分が汚れてしまった気がして、急に哀しみが胸に押し寄せた。
自然と涙が溢れてきて止められなかった。
「ふっ…うっ…」
自分の身体を見たくなくて抱えるように踞った。
すぐに消える痕じゃない。この痕が消えるまで…ううん、消えても俺の心には後悔が残るんだろうな…
『翔?どうかした?具合悪い?』
智さんの声がドアの向こうから聞こえてきた。こんな姿見られたくない。
「いえ…大丈夫、です…」
『翔、開けるよ?』
「やめっ!あ、けな、でっ!」
『翔、開けるからな』
声が聞こえるのと同時にドアを開かれ智さんが中に入ってきた。
「翔…どうした?」
「な、んでも、ない、です…」
「なんでもなくないだろ、そんな格好で泣いてるんだから…」
「ごめんな、さい…すぐに戻るから先に寝ててください」
泣いてることはばれている…無駄な足掻きだってわかってるけど智さんに泣き顔を見られたくなかった。
「どうしたんだよ?」
智さんの優しい声がすぐ傍で聞こえる。
俺のこの身体を見ても変わらず優しい声を聞かせてくれる?
ゆっくりと顔を上げると心配そうな表情をした智さんと目が合った…
「さ、としさん…」