第28章 forever
《翔side》
「それじゃあ潤、おやすみ…鍵だけちゃんと閉めてよ?」
「あぁわかってる、おやすみ」
玄関で潤に見送られ部屋を後にした。智さんの手が俺の手を握りしめ歩き出す。
「智さん…ごめんなさい」
俺が鈍感なせいで招いてしまった今回の騒ぎ。智さんにまで迷惑を掛けてしまった。
「もうさ、諦めたよ…」
智さんが苦笑混じりで話す。とうとう呆れられてしまった?そりゃそうだよね…ずっと言われてるのに結局何の進歩も見せないんだから。
「翔?」
俯く俺を覗き込むように見る智さん。
「もぉ、泣くなよ…別にお前のこと嫌いになったとかじゃないから」
智さんの部屋に着きそのまま手を引かれリビングに連れていかれた。
ソファに座らされると智さんの腕が俺を包み込む。
「あのな?俺が諦めたのは、お前に好意を寄せる人間を見極めさせること」
智さんの優しい声が耳元で聞こえる。
「え?」
「だから、いつも言ってただろ?どう見られてるか考えろ、って」
「…はい」
岡田さんもそうだし、松岡さんの時も気が付かなかった。自分が人に好かれてるって意識がなくて、いつも笑顔で応対して警戒しないからそれが相手を勘違いさせるんだ、って。智さんに言われてもそれがなかなか直らなくて。
「でもさ、それが出来ないのが翔の良いところでもあるんだよな?
お前の場合、人からどう見られてるかなんて考えなくていいんだ…人によって態度を変えるなんて翔らしくない。だから今のままでいろ」
俺、今のままでいいの?
「…いいんですか?智さん呆れない?」
俺を抱く智さんの腕に力が籠る。
「呆れるわけないだろ?そこも含めて翔だってわかったから。相葉がお前を見守っていてくれてたように、俺も今のままの翔を守っていくよ」
体だけじゃなく心も智さんの温かさで満たされた。