第3章 モルヒネを追って
「……ってェな、このヤロ!」
仕返しとばかりに反射的に体を裏返して、渾身の一撃を放つ。
回し蹴りが黒服の腹に命中。
ぐらりと前のめりになり、黒服は地面へ崩れ落ちた。
ここにいる連中は……みんなドライジュースなのか?
皆それぞれに応戦する最中を見渡す。
「――……わっ!」
横から他の拳が飛んできて、慌ててかわして蹴りつける。
ボーッとしている暇なんてないよな。
「ヤられてばっかりだと、思うな……よっ!!」
その後はみんなの様子を確認しつつ、黒服の連中を相手にしていたが……やっぱり数が多い。
これじゃ幾ら倒してもキリがない。
つかコイツら、なんか変だ。
「くっ……! ふっ!」
回し蹴りを黒服の一人に食らわせれば、倒れる。
しかし普通ならあり得ない、ある違和感が奴らにはあった。
様子を見てて思ったけど、誰も声を出さない。
俺がついさっき蹴ったヤツも、微かなうめき声すら上げなかった。