第3章 モルヒネを追って
ミズキがナイフの先端を婆ちゃんの喉元へ押しつける。
嫌だ……。
耳の裏側でドクンと鼓動が鳴り響いた。
その背後ではフラッシュバックのように、婆ちゃんと過ごしていた平穏な日々の一ページが次々と脳裏に浮かび上がる。
やめろ……
婆ちゃん……
婆ちゃん!!!
「…………っ!」
――気が付いた時には、足が勝手に走り出していた。
俺はその勢いのままにミズキに掴みかかり、その目を見て……
……そして。
ドクン。
一際大きく、心臓が鼓動を刻んだ次の瞬間。
……突然、視界がぐにゃりと歪んだ。
この感覚、つい最近もどこかで……
そうだ、これは……
……ライム。