第3章 モルヒネを追って
「蒼葉、今からでも遅くないぜ。しかも今の方がチームとしては格上になってる。俺たちの仲間になれよ、ドライジュースの一員に」
「…………絶対、嫌だ」
しばらくの沈黙の後。
俺は断固とした拒否を滲ませて、ミズキへの返事を返した。
ミズキのリブに対する情熱は知ってる。
だからこそ、俺はわざと力を籠めた答えをミズキへ返した。
今のミズキはおかしい。
こんなことを言うヤツじゃない。
ミズキは俺の言葉を聞いて一瞬顔を歪めたけど、すぐにまた薄ら笑いを浮かべた。
「……あ、そう。そうか、まぁいい。それならいい考えがあるんだ」
ミズキの言う“いい考え”
嫌な予感がした。
「蒼葉、お前って婆さんすげー大切にしてたよな」
「!!」
発せられた単語に驚く間も無く。
ミズキが婆ちゃんの腕を掴んで引き寄せ、その首に何かを突きつけた。
雲間から降り注ぐ陽光にキラリと反射する冷たい金属の輝き。
……ナイフだ。
嫌な汗が背筋を伝い落ちる。