第3章 モルヒネを追って
な……んで。
紫に近いような茶髪に、金色の瞳。
左目の下には涙の形をした刺青があり、耳には赤と黒の玉状のようなピアス。
オリエンタルな雰囲気を醸し出す整った相貌。
その中で口元だけが不敵に歪んでいた。
「まさかここまで嗅ぎつけてくるとはな。さすが蒼葉ってとこか」
目の前の人物の唇から自分の名前が紡がれ、嘘だと思いたかった心が否定される。
「ミズキ……お前、なんで……婆ちゃんは……」
ミズキは驚きのあまり言葉が出ない俺を見て、貼り付けたみたいな笑みを更に濃くした。
「お前を探すように言っといたヤツらを待ってたんだけど、代わりにお前がここに来たってことは……アイツら、捕まっちまったのかな」
……違う。
脳裏を過るミズキの顔。
俺の知ってるミズキはこんな顔をするヤツじゃない。
こんな風に人を嘲るような喋り方をするヤツでもない。
俺が今目にしているミズキは、ミズキの顔と身体を持った全くの別人のようだった。