第3章 モルヒネを追って
「ひえー! やめてくださーい!!」
ポコッ!!
可愛らしいパンチ音でありながら、威力は抜群であるらしい。
クリアの拳が相手の頬に当たり、まず1人目は退いたようだ。
「とっとと行け」
「……悪い!」
ミンクに先を促されて、乱闘の脇を通り抜ける。
一瞬だけ背後に目をやると、黒服とミンクたちで団子状態になっていた。
ミンク、クリア、後は頼む。
気を取り直して前に向きを変え、俺は奥のドアへ全速力で走った。
今……俺がここで立ち止まる訳には行かないんだ!
婆ちゃん! 居てくれ!!
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みんなの助けもあって、俺一人で喧騒から抜け出した。
ドアを通り抜けた先は外で、肌寒い風が吹き付けてくる。
目の前は駐車場のような錆び付いたフェンスに囲まれた開けた場所で、行き止まりだった。
婆ちゃんは…? と探そうとして、真っ先に黒いバンと乗用車が目に入ってくる。
その周りに黒服たちが何人か立っていた。