第7章 終・嘘つきとさよなら
【…~…】
先客は一人で、何かを口にしていた
耳を澄ませば、それが歌だと気付く…
"風は何処までも自由で
何処へでも行けて
風は自由を喜んだ
自由な事で風は忘れてしまっていた
何処へでも行けても
何処まで行っても自由でも…
風は孤独だという事に
縛られる事のない自由に満足してしまった風は
誰にも気付いてもらえなくなっていた
後に気付いた風は何も出来なかった、しようとはしなかった
風は自由に駆け抜けた
だけども次第に分からなくなった
風は本当に風なのか
でも風は孤独だから
だからそれを証明してくれる者は誰も居なくて
理解させてくれるモノもなくて
風はいつしか、自由なのかも分からなくなってしまっていた
風はもう、何かを望む事すら忘れてしまっていたーー…"
静かに吹く風が、歌を歌う少年の金色の髪を揺らす
僕は歌の歌詞の意味はよくは分からなかった。 だけど、とても悲しい感じがした…
【ーー…誰か居るの…?】