第24章 誕生日とエイプリルフール
~おまけ・続~
・クレハの哀しみ
殴り飛ばす時より少し前、失った当時の心情とは如何なものだったのか…
それについて書き連ねていきます。
失った…
失って、しまった;
いやだ;
いやっ;
いやあああああああああああああああああああああああっ;;;
そんな思いばかりに駆られ、泣きじゃくるばかりでした。
お母様が死んだ当時の光景ばかりが、頭をよぎっていました。
私が母を失ったのは、10歳の頃でした。
母「ごめん、ね…一緒に、いてあげれなくて」
クレハ「そんなことない!だって、お母様は」
頬を撫でる母に、私は涙を流した。
専属医師が言うように、もう永くない危篤状態だと…
それを知っていても、認めたくなんてなかった。
クレハ「いつも…ずっと、一緒に居てくれた。
学校に行けなくても、笑って…
こんな私を、受け入れてっ;;」涙
目がかすんで、前が見えなくなっていた。
危篤状態の母を前に、途切れ途切れの言葉と頬の温もりを前にした私は
ただ、感謝を伝えたかった。
『いつもありがとう』と
『産んでくれて、共に過ごせて幸せだった』と…
でも、言えなかった。
母「いつも…ありがとう。
クレハ…あなたは、本当に優しい子(なでっ)
いつかきっと、あなたを、ちゃんと見てくれる人が、現れる。
だから…諦めては、ダメ。
信じて、突き進みなさい。自分の道を…
結果は、きっと裏切らない。
いつでも、それについてくるものだから。
私は…ずっと…あなたを…見守っ…て……」
ぱたっ
母の手が、頬から離れた。
最期まで、母は私の将来を憂いてくれていた。
その幸せを望んでくれていた。
感謝を伝えたかった。
涙を流しながら、看取ることしか出来なかった。
張り裂けそうな痛みが、そればかりが私の心の全てとなった。
クレハ「っ;ぁっ;;
お母様あああああああああああああああああああああああ!!!!!;;」
あの息を呑んだ声も、しゃっくりが出るほど泣きじゃくったことも
その時の全てが、今でもありありとリアルに覚えていた…
それが、ケイトが消えた時と被さって
消えてしまった温もりと被さって、泣き叫ぶ声がいつまでも止められず、涙が止めどなく溢れるばかりでした。