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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第12章 二人の宝物 三章


「信長様!」

広間に戻りながら三成から
一通り話を聞いた凛は
勢いよく広間の襖を開けた。

「遅かったようですね‥。」
隣で三成が広間を見渡し目を細める。

視線の先では光秀と信玄が
酒を酌み交わしていた。

「徳は寝たのかな?」
寝顔もさぞ愛らしいだろうね、と
信玄が微笑む。

「クククッ。たった今終わったぞ。」
と、光秀が愉しげに酒を煽る。

その光秀の目の前には、
額を両手で覆った家康と
眉間に皺を寄せて唸る幸村が倒れ、

少し離れた所では、秀吉が
一升瓶を抱えたまま寝ている。

「‥きゃっ!」
広間に入ろうとした凛は
足元の何かに躓いた。

「‥痛た‥なに?」

振り返るとそこにいたのは
呑めない酒を呑まされたのか、
真っ赤な顔の政宗。

襖に寄りかかるように
座り込んで眠る佐助は何故か
眼鏡をイヤフォンの様に掛けて
薄っすら微笑んで眠っている。


「‥ん。凛、戻ったか‥。」
声のする方を見やると、上座に座る信長が
脇息にもたれて軽く頭を振る。

声に気づいたのか、その向かいで
謙信が片手を頭に添えて深く息をつく。


三成の話によれば、凛と徳姫が
広間を出た後、徳姫を巡って乱闘になった。

しかし、怪我をすれば凛が悲しむぞ
という信玄の案で、酒で決着をつける事に
なったらしい。

「信長様、大丈夫ですか?」
謙信様も呑み過ぎです‥と、
二人に水の入った湯呑みを渡す。

「謙信様、今夜は泊まって下さいね。」
佐助くんもあの通りですし、と
凛が声を掛けると
謙信は、ふん、と鼻を鳴らした。

「姫、俺達にも部屋を貰えるかな?」
凛が振り向くと幸村を指差して
信玄がニコニコと微笑む。

「はい、すぐ用意しますね。」
と、広間を片付けている女中に
客間を2つ用意するよう頼んだ。


パタパタと女中と共に広間を出ていく
凛を横目で見やると、
信長は謙信に視線を移す。

「‥ふん。決着は持ち越しだな。」
俺の物は何一つくれてやらん、と
信長は鼻を鳴らす。

「‥次に会うのは戦場だ。」
その時は‥と、言葉を切り
謙信の瞳が愉しげに細められる。


「お前の首と、凛を頂くさ。」

フッと信長の口端が上がる。

「やってみろ。出来るものならな。」
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