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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第12章 二人の宝物 三章


広間で大乱闘がおきている頃、
凛が静かな廊下を
徳を抱いて歩いていた。

大きくなったとはいえ、まだまだ子供。
スヤスヤと凛の肩に頭を預けて
眠るその表情はとても愛らしい。


徳の部屋について、
用意されている布団に
ソッと徳を下ろす。

あどけない寝顔を見ながら
凛は先程の徳との会話を思い出す。


それは広間を出てすぐの事。

ウトウトしている徳を抱き上げると
ふふっと徳が微笑んだ。

「どうしたの?」

「謙信様はね‥父上とおなじなの‥」

寝言のように呟く声に耳を傾ける。

「とってもかっこいいの。」
それにね‥母上ともおなじよ‥と
徳姫が続ける。

「母上みたいに‥やさしい目なの。」

「そっか。素敵だね。」

そのままスヤスヤと寝息を立てて
徳姫は眠ってしまった。



ソッと徳姫の頭を撫でる。

この子もいつか大人になって
誰かと婚姻を結ぶ時が来るだろう。

それはいい恋をして、
たくさん泣いて笑って、怒って
それでも一緒に居たいと思える人で
あって欲しいと思う。

時を越え、運命にも逆らい
結ばれた自分達のように
愛する人と結ばれて欲しい。


「‥ちょっと早すぎるけどね。」

ふふふっと笑みを溢して、
部屋の行灯の火を消す。

起こさないように部屋を出ると
三成が小走りで近づいてきた。

「凛様。」
にっこりとエンジェルスマイルを浮かべて
徳の部屋を見やる。

「徳姫様はご就寝されましたか?」

「うん。楽しかったみたい。」

それは良かった、と微笑むと
三成がハッと何かを思い出す。


「あ、そうでした。」
光秀殿に頼まれていたのでした、と
ポンッとお約束のように手を打つ三成。

「? どうしたの?」
キョトンと凛が首を傾げると
三成が少し困ったように頭を掻いた。


「それがですね、広間が‥」

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