第1章 息子の親友
「美味しいですよ」
彼は笑って口に付いたクリームを舐めとった。
ユンスはそれを見つめていた。
なんてエロティック何だろうと…はっと我に返ったときに、うっかり持っていたトレーを落としてしまい、ココアやシフォンケーキをダメにしてしまった。
「ごめんなさい」慌てて割れた食器を片付けると、指を切った。
「痛っ!」
指の先から赤い鮮血が噴き出た。
「切ったの?」
ウォンシクが慌ててユンスの指を口に含んだ。
「あ…」
ユンスは驚いて固まった。若い男が私の指を咥えている。
その状況をどうしたらいいのか頭が真っ白になった。
「母さん、何の音?」
派手な音がホンビンにも届いたのだろう、彼も様子を見にキッチンにやって来た。
ユンスは慌てて彼から身体を離した。
「あ~あ、何やってんの…母さん…どんくさいんだから」
「ごめんなさい」
ユンスは小さく謝る。
「僕が悪いんだよ。ユンスさんを驚かしたから…」
「ウォンシク、ほっといて早く来いよ」
「ああ…これを片付けてから」
彼はそういって割れた食器を片付け始める。
そして耳元で囁く「驚かしてごめんなさい」と…悪戯っ子の様に小さく微笑んだ。