第1章 Linaria~この恋に、気づいて~
そう考えていると部屋にノックも無しで入って来た人物が俺を呼ぶ。
こんな非常識な人物は他にはいない。
「総悟…ノックくらいしろ…」
カーテンを掻き分け、総悟は俺とコイツ…の顔を行ったり来たりする。
何やら嫌な予感しかしないのは俺だけだろうか…。
「土方さん、やっぱりロリコンだったんですねィ」
良いネタになりまさァ。
そう言った総悟は踵を返した。
って、ちょ、ちょっと待てや、コラ!
「総悟、何言ってやがる!」
俺は総悟の首根っこをすぐさま掴み、逃げるのを阻止する。
「何でィ…。俺は事実を言いふらしに行くんでさァ」
止めないでくだせェ。
いや、イヤ。止めるだろ、普通!
「事実無根だ、コラ」
俺と総悟が言い合っていると、背後から遠慮がちに嗄れた声が聞こえた。
「あの…」
俺と総悟はその声の方に向き直すと、さっき俺が渡したメモ帳に綺麗な文字が並んでいた。
「「マジでか!?」」