第1章 Linaria~この恋に、気づいて~
絶望
希望
闇
光…
それらが混じり合い、混沌とした世界。
私の世界に貴方はいない。
そんな世界なんて、要らない。
私は貴方が全てでした。
なのに、私から全てを奪った…だから私はこの世界が大嫌い。
消えろ、消えて無くなれ。
無理なら…
私が消えて、無くなれば良い…。
だけど…
私は私。
私は貴女。
貴女は私。
貴女は…
どうして、此処に…
【Linaria…5】
「「マジでか!?」」
その気持ち、解ります。とても…。
だけどね、
ヒデーな!オイっ!
私の書いた文字を目でなぞった土方さんと沖田さんの声が綺麗にハモる。
解るんだけど、そんなに見えないかな、私。
「良かったですねィ土方さん。だけど一緒に歩くとなるとどう見てもロリコンに援助と言うオプショ…っいっ!」
スパーンと気味の良い音が響く。
沖田さんがセリフを言い終わる前に土方さんがスリッパで頭を叩いた。
「いい加減にしろよ、総悟。…どう見ても…せ、成人してる…じゃねーか?」
何ですか、その間と疑問符は。
ぶっ飛ばしても良いですか、コラ。
私はメモ帳に"私は成人しています"と綴った。そしたらこんな扱い。
解ってるし、解ってた。
だけど実際こうなると少しだけ胸が痛い。
「俺らはもう行くが、その間何かあったら山崎に言え」
後で寄越す。
そう言った土方さんは沖田さんの首根っこを持ったまま引きずる様に出ていこうとした。
そう言えば、お礼したっけ?
それに気付いた私は嗄れた声で二人を呼び止め、急いで言葉を綴った。
「…気にすんな」
じゃあな。一言クールに決めた土方さんは今度こそ部屋を後にした。
沖田さん、可愛かったなぁ…。
それに、最後の土方さん…。
片手は沖田さんを引きずっていてアレだけど、片手を上げて去った後ろ姿にときめいた事は私だけの秘密。
閉まる扉を後にして、そんな事を考えてながら私はベッドに潜り瞳を閉じると直ぐに意識は深い闇の中へ。
廊下から再び気味の良い音が響いたことは知らないままに…。