第1章 Linaria~この恋に、気づいて~
俺に触れるな。
関わるな。
そうやって誰にでもヘラヘラして誰それ構わず手を差し伸べる…。
俺から見たらアンタは偽善者って言うんでィ。
アンタのそう言う姿を見ると、虫唾が走るんでさァ。
え、ごめん…?
別に、謝る必要は無いでさァ。
それがアンタだから。
俺はワガママで天邪鬼なんでィ。
だから…、
もっと俺に…。
【Linaria…4】
目の前の女の名前はと言った。
と言うか、俺は何を口走った…。
"俺んとこ、来いよ"
ありゃー、まるで…
プロポーズじゃねぇか…。
俺がプロポーズ紛いな事を言うと、かなり長い沈黙が訪れた。
その後コイツははぁ?と言う様に間の抜けた顔をした次の瞬間、ボンっと効果音が付きそうなくらい顔を真っ赤にしやがった。
俺もそれにつられ動揺し、煙草を吸って落ち着こうとしたが此処は病院。直ぐに気付き、更にそれを隠そうと頭を掻き誤魔化した。
俺は必死に言葉を探し、コイツに行く所無いんだろ、と言った。
俺はコイツが行く宛が無い事は解っていた。
なんせ、出会いが出会いだったからな…。
とりあえず、コイツを保護して色々聞かなきゃならねぇ。体力が回復したら退院って言っていたから後一週間位か?その間は山崎にでも見張らせておくしかないな。
流石にこれ以上は通えねぇし。
「土方さん、着きましたゼィ」