第1章 Linaria~この恋に、気づいて~
「…ちゃん、ちゃん!」
「っ!あ、ごめんなさいっ!」
随分と考えていたみたいで山崎さんが呼んでいる事に気が付かなかった。
言っておくけど、地味過ぎて気付かなかった訳ではないからね!
「あ、何か目の前が霞んで…」
あぁっ!!ごめんね、ジミー!
「って、アレ?」
「ちゃん、全部声に出てたよ…」
うぉっっッ!!まじでか!
「あ、あのっ!山崎さん」
私は山崎さんの機嫌を取り戻すべく、彼を呼ぶと少し涙目になりながら私の方へ向く。
ヤバイ!
ジミーの癖に可愛い!
ゲフン…悶えるのは後にして、まずは言わなくちゃ。
「山崎さんのおかげで私は笑っていられました。ですから、ありがとうございます!」
私は山崎さんに向けて精一杯の笑顔を見せてお礼を言った。
するとどうだろう。
山崎さんの顔がみるみるうちに真っ赤になっていった。
ちょ、マジで可愛いんですけどぉ!
ヤバイ、好きになりかけた!
抱き着いても良い?てか、抱き着きつく!
私が山崎さんに抱き着きたいとウズウズしていると、私の病室に甘い声が響いた。
「なに真っ昼間からイチャ付いているんでィ。ジミーの癖に死ね」
甘い声とは裏腹、かなり真っ黒なセリフを放つ人物。
オマケに私の貴重な萌えタイムを打ち切ったのはあの蜂蜜色のドS王子様だった。