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【薄桜鬼】闇色夢綺譚~花綴り~ ※R18

第1章 闇色夢綺譚~花綴り~


【嘘、無情にも】







「名前さんもご一緒でしたら良かったのに…」

私だけだなんて、申し訳ないです…。

「あぁ、仕方ねーよ。まだ万全じゃあないんだしさぁ」

何か土産でも買って行こうぜ!


そう会話する平助と千鶴ちゃん。
今日は町中が賑やかな日だ。
長州薩摩藩が何やら不穏な動きを見せる中、関係ない奴らは呑気に祭りを楽しむ。
なんて口では堅苦しい事を言いつつ、俺らもちゃっかりと祭りの雰囲気を楽しむ。

「左之さんも早くー!」

少し離れた所で平助が俺を呼ぶ。
その傍らで千鶴ちゃんが可愛らしい笑顔を見せ、俺を急かせる。

「原田さんも、名前さんのお土産選びましょう」

そう言った彼女と平助は色んな出店を見て回る。

俺は正直言うと、心の底からこの雰囲気を楽しむ事が出来なかった。

何故なら屯所を出て来る前だ…。





「原田、時間を稼いで貰いたい」

俺は皆を引き連れた見回りと称されるただの遊びに行く前、土方さんに呼び止められた。

「一番隊と番隊は何時もの見回りだが、オメェらは違う。出来るだけ遅く帰って来い」

この時は全く気付かなかった。

だが、こうして時間が経つに連れ、土方さんが何をしたかったかやっと解った。
そりゃ、そうだ。
俺らが居たらやりにくいだろうし、ましてや総司と斎藤に知れたらどうなるか解らねぇだろうしな。

今更止めてくれと言っても…

「今更だよな…」

俺の呟きは、祭りの賑やかな声により、かき消されて行った。

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