第1章 2人の距離
私がそこまで言うとニノさんはふふふと笑って
「あー。…それは俺も同じだから。」
優しく見つめてくる。
「…。俺こそ。ごめん。」
素直に謝るニノさんにぶんぶんと首を横に振る
「なんかさ、拒否された時。1番仲良しだった子に俺は2番目に仲良しだったんだって言われた様な気分になってさ。」
フフッと笑いながら言うニノさん。
何だかその気持ちがわかってしまって心臓がキュウっとした。
「ちょっと。…微妙だよね」
頭をポリポリ掻きながら言うニノさんに、ですね。と真顔で返すとお互いにクスッと笑った。
その後の撮影は楓さんもいるからか巻きに巻いてかなり予定より早くアップした。
今日で撮影は終了。
このスタッフ達とも。皆んなで撮影するのは最後だ。
「由梨!来週に完成記念パーティーするみたいなんだけど全員参加だからしっかりスケジュール空けといてね!」
そうか。来週はもう楓さんと仕事じゃないのか。
そう思うと少し気分が落ちた。
それを察したのか
「やめてよ〜。私が泣きたくなっちゃうじゃない!」
そういって抱きついてきたのでいつもよりしっかりめに抱きしめ返した。
撮影が終わり私は次の日から1人で仕事を始めた。
お笑い芸人やら俳優さんやらアーティストやら。
楓さんに沢山の仕事を紹介してもらい私は思ったよりも順調にこなしていくことが出来ていた。
独り立ちしてからの1日はあっという間でいよいよ完成記念パーティーの日になった。
ドレス着用必須なので選ぶのが大変だった。
背中を完全に隠せるものを探すのに苦労した。
ドレスを着るとき鏡を見て愕然とした。
脇腹あたりまで昨日のセックス中に腰が引きちぎれるくらい掴まれた跡がある。
このドレスは脇腹がシースルーで少し見えるタイプで色は藍色。
一応。着てみよう。
着てみると思ったよりも目立たなくてホッとした。
パーティー会場はそんなに明るい筈はないのでバレないだろう。
会場に着くと楓さんが真っ先に私を見つけ早速ハグしてきた。
「あ〜ん!一週間ぶりの由梨だわ〜」
私に抱きついている楓さんは深いスリットの入ったドレスを着ていて綺麗な足がスラッと見え隠れしていた。