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2人の距離

第1章 2人の距離



それからニノさんは海外撮影中、あの日以来部屋に来る事はなかった。
ヒロトからも1日1度連絡があるくらいで特に何かある訳でもなかった。


撮影も無事に終了し日本に帰ってきた頃には気づいたら今回の撮影も残り3日ほどになっていた。




日本での仕事はまず楓さんのハグを受け止める事から始まった。

「あ〜ん!由梨〜!会いたかった!どうやら順調だったみたいね!偉いわ〜!」
ありがとうございますと笑いながら返すと満足したのか最後にギュッとハグして仕事に戻った。



残り3日間。
大切に過ごさなきゃ。


そんな事を思っているけれど少し問題が出来た。

他の人の撮影中ニノさんと2人になる時に気まずい雰囲気が流れる
やっぱり拒否してしまったからなのか距離感がわからない。

それでも他の誰かがいる時はお互い普通なので誰にもこの問題に気づいていないのだけれど。





のこり1日。今日の撮影で全部撮り終えるとなる時には流石にまずいなと思ってしまった。

ニノさんには沢山ありがとうを言わなければならない。
全部伝えきれていないのに今日の撮影が終わったら次はいつ会えるのかなんてわからない。
一生会わないかもしれない。

それなら悔いのないように伝えたい。
何が此処まで私を突き動かしているのかわからないけどそう思った



今日の撮影はニノさんと待ちがいくつかあった
その時に伝えようと思い、思い切って自分から話をふってみた



「ニノさん。…あ、あの。この前のロケの時。」
そこまで言うと「ん〜?」と力のない返事が帰ってきた

出鼻を挫かれるとはこう言う事なのかと思い力が抜けてしまったが、逆に笑えてきて不思議と力が湧いた

「ありがとうございました。…あと。ごめんなさい。別に嫌な訳ではなかったんです」
そう言うとニノさんがまぁ。とりあえず座りなさいよ。とホテルの時みたいにポンポンと隣を叩いた

素直にそれに従い話を続ける
「…なんか。ニノさんって勝手なんですけど癒しなんですよね」
私の言葉にはい?と意味がわからないという顔をした

「その、抱きしめられた時もなんかこう。あれですね!コタツに入ってボーッとしちゃう様な!」
未だに頭の上にハテナマークを乗せてるニノさんに御構い無しに続ける

「とにかく!微睡んじゃうんですよ。此処最近。ニノさんが私の癒しになりつつあります」
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