第1章 2人の距離
居酒屋のあの出来事から数日がだった。
今日から3日間の海外ロケに入る
海外ロケは二手に分かれての撮影で
大野さん松本さん相葉さん→楓さんヘアメイク
櫻井さん二宮さんは私がヘアメイクとしてつくことになっていた。
このころからいつの間にかスタッフや嵐さん達は私の事を名字から名前呼びになっていて、それは二宮さんの影響なのかなと思った。
あの時から二宮さんは私のことを由梨ちゃんと自然に呼んでいる。
私は二宮さんからニノさんに変わった。
これは多分楓さんの影響。
現地に着くと早々にホテルに行き部屋で待ち時間になった。
ここはヒロトの居ない国。
最近、私はヒロトを愛せているのか疑問になる。
どうしてこんなになってしまったのだろう。
昔はもっと上手くできていたのに。
窓の外の風景を見ながらボーッとそんなことを考えていたらノック音がした。
はーい。と扉を開けるとそこにはニノさんが立っていた。
どうしたのか聞こうと思ったらササっと部屋に入って来てソファに腰を下ろしゲームを始めた。
時計を見ると集合まであと2時間。
暇つぶしに来たのだろうか。
何も言わずに黙々とゲームをしているのでとりあえずコーヒーを入れテーブルに置くとありがとうと素直に飲んでいた。
「由梨ちゃん。…手見して」
そう言ってゲームをしてたかと思ったら突然私の両手を引っ張り手を開いてまじまじと見ていた。
「あ、あの。」
あまりにも食い入る様に見るので恥ずかしくなって来た。
ニノさんがソファで私は床に座っているのでニノさんの鋭い視線が私の両手に向いていることが良く見えてしまう為恥ずかしさが倍増する。
しばらくして私と目が合うと、あぁ。ごめんね。と離してくれた。
そしてこっちどうぞと隣をポンポンと叩くので遠慮がちに離れて座った。
少し沈黙が続いてニノさんが口を開く
「…。今日はさ。大丈夫だったのかなって。」
なんのことかわからなくてニノさんを見ると凄く真剣な表情だった。
そして察してしまった。
ヒロトの話だと言うことを。
突然ブルブル震える身体。
昨日の事がフラッシュバックとして蘇る。
海外ロケのこと
スタッフが私以外男性なこと
全てにおいてヒロトの逆鱗に触れるには簡単な事だった。