第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【冷たい視線、震える心】
どうしてこうなった…。
「うぅぅ…」
大谷様に案内してもらった部屋に一人ポツンと佇む私は、借りて来た猫の様に大人しく項垂れていた。
元就様から借りていた部屋もそうだが、どうしてこんなにも無駄に広い部屋に私を押し込むのだろうか。
現代の私の部屋なんか家賃が安く、立地も悪く、帰って寝るだけの1Kだぞ。
項垂れても仕方ないと思う。
あと、項垂れている理由がもう一つ。
苦しい…。
何が苦しいかと言うと今の私のこの姿。
生まれて三度目の豪華な着物のせい。一度目は成人式だ。大学卒業は袴だったからノーカウントにして二度目は弾正さんの所。そして三度目は今現在。刑部さんに連れ去られた私は無駄に広い部屋に押し込まれたと思ったその刹那。刑部さんの所の女中さん達に着せ替え人形よろしく、嫌がる私をガン無視し無理矢理着せられたわけだ。深夜にも関わらず何処からともなくワラワラと集まり、あっという間に仕上がる。それと同時にサッと散っていったのに対して私はアレみたいと思ったのは内緒だ。