第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
「ここからは、軍師同士の話になる」
先程とは打って変わって、戦の時の軍師の顔つきになる。
ワレはそのまま賢人の次の言葉を待った。
「と言っても、僕の話だ」
どこまで話せるか分からないし、今まで他の人間に話した事がないからどうなるか解からない。
そう言った賢人は更に言葉を続ける。
「僕は、ある者に魂を売った」
ワレは呪いか何らかの事と思い賢人に問うたがそうではないと首横に振られた。
「とある " 人間 " を殺す事が出来たら…」
ヒッヒッヒッ…。
これは驚きよ、オドロキ。
ワレはそんな事が出来るとは思わなんだ。しかし、賢人の " アレ " は実際に止まっていた。
「…神の領域」
賢人はそう呟く。
しかし…神は神でも、それは…
「ワレから見れば死神よ、シニガミ」
賢人は小さく頷く。
「その、ある者の名は…」
その時よ。
おそらく賢人はある者の名を伝えよう、その刹那、賢人から発せられたのは言葉でも、何でもない赤い何かがワレの視界を遮った…。