第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
「はいはーい。何でもないから皆帰った、帰った」
俺は群がる家臣や女中を追いやり、皆が居なくなった事を確認すると適当な部屋から障子を外し、俺と三成様が打ち抜いた物と交換した。
流石にそのままと言う訳には行かないからな。
交換し終え、障子は何事も無かったように綺麗になった。
俺はそのまま名前の部屋に入り、箪笥の中を漁る。
この部屋は名前が何時帰ってきても良いように、三成様の命により、俺が定期的に掃除をしていたから何処に何があるか把握していた。
箪笥から一枚の上質な長襦袢を取り出し、彼女に渡そうと思い、恐る恐る話しかけた。
「そのままじゃ、アレだから…」
何だよ、アレって。
情けねぇ…。
俺は言葉が見つからず、そのまま思った事を言ってしまい、頭を抱え込む。
もっとマシな物言いは無かったのか、と。
一人で項垂れるていると、初めて彼女が口を開いた。
「ねぇ、お願いがあるの…」
俺はそれに頷き、彼女の願いを受け入れた。