第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【※thirty-first.】
後悔なんてしていない。
だって、ずっと、ずっと貴方に触れたい、触れて欲しいって思っていたんだ。
忘れていないよ。
あの日、あの時の事。
わたしの初めての日の事だもの。
あの時貴方はただ義務付けられたようにわたしを抱いた。
それでも、貴方は優しくしてくれた。
「んっ…」
もう、何度目になるのかな?
甘くて、全てがとろける様なキス。
最初は良く分からなかった。
なんせ、幼い頃だったもの。
今考えると…うん、忘れよう。
二度目は良く覚えてる。
血に染まった貴方を見つけて酷く狼狽えていたっけ。
そして、闇へ飲まれる前にわたしの手を引き、少しだけ強引に…。
二度目のキスは、目眩がする程甘かった。
あぁ、そう言えば貴方が私のお父さんを見た時は本当に笑えた。
今でもあの表情は覚えている。
ふふっ。思い出したら顔が自然と緩んできたよ。
…わたしは貴方に逢うために生まれた。
そう夢みたって良いと思う。
違う、夢なんかじゃない。
だって…こんなにも、こんなにも貴方は…