第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
【thirtieth.】
僕は何て事をしてしまったのだろう。
無理やり手を引き、部屋に追いやる。
乱雑に戸を閉め彼女を見遣ると瞳を潤わせ怯える彼女。
着物は無理矢理追いやった時にでも乱れたか、陶磁器のような彼女の素肌が露になった。
" 欲しい "
僕の中の何かが外れる音がした。
それと同時に " アレ " が囁く。
ゆっくりと彼女に近付き、柔らかい頬に手を置いた。
その時、視線が乱れた着物の裾から覗く彼女の足に止まった。
その先の秘めた花に触れたいとそう思い、足首から順に上へと視線でなぞる。
そして、肉付きの良い太腿に差し掛かった時だ。
あの日に出来た刀の刺し傷が目に入った。
その刹那、僕は彼女に何て事をしようとしていたのだと、我に返った。
これでは奴らと同じではないか。
そう思った僕は頬に置いた手を離し、顔を背けながら彼女に忘れてくれと言い、彼女の部屋を後にした。