第3章 ~ひらり、ひらりと久遠の破片~
彼女だった。
まるで私と初めて会うかの様に、ぎこちなく私の名を呼ぶ。
ツキン…。
" 三成さん "
ズキン…。
たったこれだけで胸が張り裂けそうに、痛い…。
「…君は今日から秀吉の娘になったんだ」
様は要らないよ、と半兵衛様は名前あぁ、もう名前ではないな…。
名前姫様に向かって仰った。
すると、彼女は困ったように顔を顰めた。
秀吉様の娘、か…。
私も名前では呼べなくなってしまった、のだな…。
「名前、姫様…」
先程、心の中で呟いた名前を言葉にして呼ぶと、目を丸くさせていた。
「あぁ、やっぱりそうなるのね…」
実感沸かないし、慣れないよ…。と苦笑い。
刑部の言った言葉が頭の中を駆け巡る。
" 超えられない壁がまた一つ "
正にその通りだ。
秀吉様、半兵衛様。
そして、姫様…。
私は一体、どうしたら良いのだろうか。
今にも泣きそうな月よ。
お前の願いは何だ…。
私の願いは…。