第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【藍に彩る月】
頭が重い…。
「…あれ、此処、何処…?」
私は重い頭を抱え、上半身を起こす。
身体が痛い…。
あ、れ…?
辺りを見渡すと自分の部屋ではなかった。
今朝からの記憶を辿ると中庭で散歩をしていたら三成さんを見かけて、顔色が悪かったので三成さんの自室に…。
自室…?
ん…?
「み、三成様のへっ、部屋ーっ!」
その瞬間、この部屋で何が起きたのか、身体が痛い訳を思い出してしまった。
「ぴゃあぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
え、コレ、しちゃったの!?
私が一人パニックになっていると、澄んだ声が一つ、響いた。
「一人で何を騒いでいる…」
はっと我に返って声のする方へ振り向く。
すると私の視界には藍色の背景に美しく彩られた銀の月が佇んでいた。
私はその月に五感全てを奪われ、ただ、魅入っていた。
「…私は構わないのだが…」
銀の月が私の方へ近付いて来る。
「名前…」
そう言い、私をそのまま押し倒した。
「きゃっ!」
え、え?な??
私の目と鼻の先に三成様の美しいお顔がある。私は何が起きたのか分からないでいた。
「…くくっ…まだ気付かないか…」
名前らしいな、と綺麗に微笑む三成様に見とれていると身体に甘い痺れが伝わった。
「ぅんっ!?」
瞬時に私の身体が反応し、無意識に身体を捩らせる。
そして三成様が言葉を続けた。
「また、お前から誘ってくれるのか?名前…」
あ、わわわ、わたし…
「き、着物どこーっ!!!」
そう、私は着物を着ていなかった。
何たる失態!!
私がいそいそと隠しながら着物を着付けている間、三成様は絶えず笑っていらっしゃった。
この、無駄に美人め。
ちくしょ。