第18章 くりすますをあなたと(三成)
夕刻、日が傾き始めた頃、三成は帰ってきた。
「愛様、お待たせ致しまし…」
襖を開けながら、声をかける三成は、愛の姿に言葉を失う。
『ど、どうかな…。いつもより頑張ってみたんだけど…』
目一杯おめかしを…
その言葉通り、目の前の愛は、いつもと違う髪型に結い、
化粧も普段とはかえているようだった。
何も言わない三成に、不安そうな愛が恐る恐る声を出す。
『ごめん…気合い入れすぎちゃったかな…』
「い、いえ、違うんです。
あまりにも愛様が可愛らしくて…
今すぐ抱きしめて口付けたいくらいです。
こんな素敵な貴女を今から外に連れ出すと思うと、
少し躊躇われてしまいますね…」
三成の言葉に、愛はこれ以上なく照れてしまう。
頬を染めるその姿は、更に艶を増しているように見えた。
『三成くん、それ、褒めすぎだから…
もうすぐ暗くなるし、大丈夫だよっ』
「そうですね…。では、参りましょうか」
そう言うと、愛の手を取り部屋を出る。
「まぁ!三成様!そんな素敵な姫君を連れて、
何処かへお出かけですか?」
廊下に出れば、女中たちがおめかしをした愛を見て騒ぎ出す。
「素敵な結い髪ですね!今度教えてください!」
女中たちがどんどん集まりだし、騒ぎ出す。
『そ、そんな、簡単ですから…』
「今から出かけてきますので、留守を頼みますよ」
三成は愛の手をしっかりと繋ぎながら声をかける。
「はぁ…本当にお似合いのお二人ですねぇ…」
女中たちの溜息を聴きながら、二人は御殿を後にした。