第18章 くりすますをあなたと(三成)
次の日の朝、愛が目覚めると、隣にいるはずの三成の姿は無かった。
『あれ?今日はお休みって言ってたけど、お仕事になっちゃったのかな?』
[にゃぁー]
愛が布団から起き出すと、猫さんが鳴いている。
『どうしたの?猫さん。三成くんいないね…』
猫さんを抱き上げようとした時、そこに一通の文があることに気づいた。
ー愛様
私は少し準備があるので、出かけてきます。
日が落ちる前には戻るので、その後は《くりすますいぶ》のでーとをして下さい。
目一杯おめかしをして下ると嬉しいです
三成ー
『クリスマスイブのデート?!佐助君が教えたのかな?
言われなくても、お洒落しちゃうよね、猫さん!』
三成が自分のためにデートをしてくれる。
それだけで愛の気持ちは浮き立っていた。
『じゃあ、私は、明日のクリスマスの準備しようかな。
上手く出来るといいんだけど…』
そう呟くと、プレゼントの仕上げを始めるのだった。
「佐助殿、こちらはここに付ければ宜しいのですか?」
三成は佐助の作ったと言う飾りを木に括り付けている。
「はい。もうそこはセンスでどんどん付けてください」
「せんす…」
「三成さんの感覚でかまいませんから。
あとは、時が来ればきっと素敵なものになりますよ」
佐助が教えてくれた、クリスマスツリーの準備をしているのだ。
ー絶対愛が喜ぶからー
そう言われてはいるものの、今のところ木に黒い丸いものを括り付けているだけにすぎない。
「本当にこれで、愛様が喜んで下さるのですか?」
三成が不安そうに訊くと、佐助はこれ以上ないドヤ顔を見せる。
「絶対自信があります。愛さんが嬉しそうにしたら、
キスのチャンスですからね」
佐助の放つ不思議な言葉に首を傾げながらも、
言われた通りに括り付けていく。
(クリスマスを知っている佐助殿なら、間違いはないのでしょうが…)