第18章 くりすますをあなたと(三成)
愛様はまだ政宗様と一緒でしょうか…
帰ってきたら、ちゃんとお誘いしなければ。
折角、佐助殿が《くりすます》を教えてくれたのですから…。
《ぷれぜんと》も用意出来ていて良かったです。
あとは、《でーと》と言うものにお誘いすれば良いのですよね。
愛様との《くりすます》きっと、とても素敵な時間になる事でしょう。
三成は、佐助に教えてもらったクリスマスを思って、自然に笑みが溢れていた。
「そうだ、そろそろ日も沈みますし、お迎えにあがりましょう…
きっと、政宗様の御殿にいらっしゃるのでしょうから」
そう独り言を呟くと、愛の羽織を手に持ち立ち上がる。
「今日は薄い羽織を羽織ってお出かけでしたから…
お持ちしましょう」
そう言うと、自分の御殿を後にした。
政宗の御殿に向かう道中、遠くに見知った二人を見つける。
「愛様!」
まだ声も届かない距離からでも、それが誰なのかすぐにわかる。
三成は駆け出したい衝動をグッと堪えて、
まだまばらに人通りのある道を早足でその人の元へと急いだ。
『あれ?三成くんだ!』
同じ頃、政宗に送ってもらっていた愛は遠くに豆粒ほどの姿を見つけて声をあげた。
「ん?どこだ?三成がいるのか?」
政宗にはまだその姿を見つけられない。
『うん!ほら、あそこ!三成くん!!』
愛が嬉しそうに手を振って大きな声を出しているのを、
政宗は苦笑いしながら見つめていた。
(好きなやつの姿はすぐに見つけられるんだな)
今にも走り出しそうな愛に向かい、
「おい、走ったら、それ落とすかもしれないだろ。
もう少し我慢しろ」
と声をかける。
愛は大事そうに、出来上がったケーキを抱えていたのだ。
政宗が持つと行っても、自分が持つと言ってきかなかった。
『そうだね。もう作り直せないし。
でも、うまく出来て良かった!政宗のアドバイスのおかげだよ』
「あどばいす?」
『あ、うん、えっと…
助言?のおかげって事』
(三成も色々大変だな…)
政宗はもう一度苦笑いを浮かべるのだった。