第18章 くりすますをあなたと(三成)
あっという間に茶屋に二人きりになった佐助と三成は、
急な出来事に呆気に取られていた。
先に口を開いたのは佐助だった。
「三成さん…多分、来ると思ってました。
今日は愛さんをお借りしてすみません」
「え?いえ、、
やはり、気になってしまうものですね…。
政宗様が連れてこなくても、私は来ていたかもしれません」
いつもの笑顔を潜め、少し思い詰めるような顔をする三成に、
佐助は、フッと表情を緩めた。
「いえ、良かった。
愛さんが好きになったのが、三成さんで」
そう言うと、佐助は三成の座る席へと移動をする。
「三成さん。もう聞こえていたと思いますが、
愛さんにとってクリスマスはとても大切なイベントです」
「いべんと…ですか」
「あ、はい。クリスマスって催し事みたいなものです。
本来の意味よりも、もっと身近な事なんです」
「キリストの生誕祭だけではないと言う事ですね」
三成から出た言葉に、佐助は軽く目を見開き驚く。
「知ってらっしゃったのですか」
「いえ…色々ありまして、先ほど政宗様から聞きかじった程度ですが…」
佐助も、午前中に政宗と愛が宣教師の謁見に出ていた事を聞いていたため、
三成の言葉にすぐに納得した。
「日本のクリスマスは、どちらかと言うと恋人たちが幸せに過ごす日かもしれません。
もちろん、友達や家族でパーティーをしたりもしますけど。
あ、パーティーって言うのは、集まって宴をするような感じです」
三成は少し何かを考えるような仕草を見せた後、
何かを決意したように佐助に向き直った。
「佐助殿、ぜひ私に、愛様が求めている《くりすます》の過ごし方を
伝授しては頂けませんか。
愛様が大切にしている日を、私も大切に過ごしたいのです」
佐助は、もう驚いた顔はせず、心の底から嬉しい気持ちで、
「もちろんです。俺の知っている事は全て教えます」
そう、頷くのだった。