第18章 くりすますをあなたと(三成)
「クリスマスっていっても、こうやって着物着て茶屋で団子じゃ、
全然雰囲気でないな…」
『佐助君、服緑だし、クリスマス感出てるよ!
ほら、私も赤い着物にしたしさ!』
マジマジとお互いの服装を見て、吹き出してしまう。
「そうか、色というのも大切かもしれないな。
あ、そうだ、やっぱりこれがないと、クリスマス感がでない」
そう言って、佐助は懐から、小さなクリスマスツリーを取り出した。
『わぁ!!すごい!これどうしたの?!』
「流石に売ってはいないからな。俺が作った」
『凄い凄い!!』
愛は、手渡された可愛いクリスマスツリーに、子供のようにはしゃいでいた。
「これなら、三成さんとクリスマスできるでしょ?」
『え?』
「え?三成さんとやらないの?クリスマス」
黙ってしまった愛に、佐助は不思議そうな顔をする。
「言ってないの?」
『うん…なんか、気を使わせちゃうかなって思って…
あ、でもね、一応プレゼントは用意してるの。
クリスマスとは言わないけど…』
「なんだ、てっきりやると思って、もう一つプレゼントあるんだけど…」
そう言うと、袋を取り出す。
『なぁにこれ?粉…?』
「砂糖と、重曹。あとは、お手製ドライフルーツ。
これあったら、できるでしょ?アレ」
佐助に手渡されたものを受け取ると、懐かしい記憶が蘇る。
『パウンドケーキ?』
「そう。生クリーム無しのクリスマスケーキってオーダーしたら
作ってくれたでしょ、昔」
現代にいた頃は、生クリームが苦手だった愛の兄のリクエストで作った、
ドライフルーツのパウンドケーキは、毎年クリスマスの定番になっていた。
「初めてじゃない?恋人と二人だけのクリスマスは。
三成さんに、教えてあげたら、きっと喜ぶと思うよ」
佐助がフッと顔を緩めて笑う。
『ありがとう!佐助くん!
そうだね、二人だけのクリスマスパーティーしてみる!あ…』
愛は何かに気づいて声をあげた。
『もしかして、それで今日にしてくれたの?クリスマス…』
「もちろん。当日に誘うほど野暮じゃないよ」
佐助はそう言って、そっとお茶をすすった。