第3章 日吉若
「…。」
「…。」
お互い黙り合って、なんとも言えない空気になってしまった。
今すぐ、帰るべきなのかもう少し話をするべきなのか…。
こういう状況にはなれていないから、回避方法がわからない…。
全く、なんで俺がこんなに必死に考えなければいけないんだ?
そんなことを考えているとが寒そうにしていた。
やっぱり、寒いよな…。
「今日は、それを渡しに来ただけだからそろそろ帰る。」
「わかった。ありがとう!」
そう言いながらはにっこり笑った。
あぁ、最後にそんな顔を見たら…
"ギュッ"
俺は、訳も分からずを抱きしめてしまった。
「ひ、日吉くん…?」
「すまないが、少しだけこのままでいさせてくれ。」
「うん…///」
俺はを抱きしめる力を強めた。
"ギューッ"
「日吉くん、苦しいよ。」
「あぁ、悪い。」
を解放した。
「悪気は、ないんだ…。ただ…」
「ただ?」
俺は、今日どうしたんだ?
感情のままに行動しすぎだろ…。
あー、もう、なるようになれ!
「俺は、ただのことが好きなだけだ///」
「日吉くん?」
「ずっと、ずっと好きだったんだよ!!こんなに、誰かのこと好きになったのはお前が初めてなんだよ///俺だけのものになってほしいんだ///」
「日吉くん…。」
「返事を聞かせてくれないか…?」
「ありがとう…///すごいすごい嬉しいよ…///」
「えっ?それって?」
「マフラーよりもいいプレゼントをもらっちゃったな。」
はえへへと笑いながらこっちに顔をむけた。
俺の胸がこんなに高鳴るのはいつぶりだろうか…。
「。」
「なに?」
「俺が珍しく好きになった女なんだからずっと俺が隣にいてやるよ///」
「えへへ、ありがとっ。」
毎年、毎年、町のイルミネーションに嫌気がさしていなにも楽しい思い出がなかったクリスマスが今年は一年で一番幸せな日になったと実感している。
今の俺ならクリスマスにも馴染めていると思う。
来年も再来年もずっとと一緒にいられることを心から祈る。
end.