第84章 ジャックダニエル
「…燭台切、あの酒いくつだ。普通のじゃないだろ‥」
「35度だったかな‥ジャックダニエルっていう蒸留酒。だから度数高いんだ。後味が蜂蜜の味だからいいかなぁって…はは、これは予想外‥。」
ごめん、と謝るとまた溜め息をつく。
「主、水をお持ちしますよ。酔いを覚ましましょう。」
「‥はせべは、まだ甘い?」
「ある、んっ!」
長谷部君の頬に手を伸ばし、チョコレートの味を探す様に唇を舐める。
上唇を啄み、口角を舌先で擽る。
「っは‥ぁ、るじっ…」
薬研君がちゃんを綺麗だと言うのが解る。
溶けてきらきら光る目と薄く色付いた首元、嬉しそうに笑うその笑みまで、酔っているせいか長谷部君が相手だからか、異様に艶めかしい。
あぁ、不味い。こんなの見せられたら‥
じわぁっと腹の奥が熱くなる。