第84章 ジャックダニエル
僕に抱き付いていた主ちゃんの脇に手を入れ、長谷部君が自分の方へと引き戻す。
「主、もういけません!一日一粒ですよ。燭台切、蓋をしろ。」
「あ!やだやだ、まだ食べるの!」
「主ちゃん、また違うの作ってあげるから。ね?」
長谷部君から受け取った箱を、両手で持ち上げ頭の上で封をする。それを見た主ちゃんが、意地悪!と、両手を伸ばして僕の頬をぐっと包んだ。
‥そして、唇が触れる。
「んんっ!?」
「あ、あるじ!?」
………何で?どうしてこうなってるのかな?いや、嬉しいけど‥
「いぢわるは、いけないんだよー」
「ちゃん酔ってる‥?」
僕が手にしていた箱からチョコレートを取り出すと、あーん、と僕の口に入れる。