第84章 ジャックダニエル
「主は本当に少量で酔うんだぞ。正月の御神酒も無理だと言って杯に口を付ける真似だったし、この前飲んだ時も大分割ってたんだからな。はぁ…」
「え、本当に?」
僕が本丸に来て、主ちゃんが酔ったのを見たのは長谷部君が居なくなったあの時だけだ。
僕は主ちゃんの何を見ていた?
主、大丈夫ですか?と声を掛ける長谷部君に、こくこくと頷いた主ちゃんが手を伸ばす。
「はせべ、おいしーね!」
「あぁ、主、食べ過ぎですよ…」
だって凄く美味しいから、と長谷部君に擦り寄る主ちゃんの頬がうっすら赤い。
「ごめん主ちゃん、他の物を作れば良かったね。」
「ん?なんで?みっちゃんありがとね、だいすき!」
ぎゅっと抱き付いてきた主ちゃんの背中を撫でると、嬉しそうに笑う。
お酒、そこまでダメだったのか‥知らなかったよ、格好悪いな。