第82章 想いのカタチ
「ふふ、長谷部殿嬉しそうですな。良い事でもありましたかな?」
いけない、また頬が緩んでいたらしい。
「いや…主も、こうして同じ様に俺達の事を考えてチョコレートを渡して下さったのか、と思っただけだ。」
そうなら良いな、と思ったんだ。
この懐中時計を選んでいたあの時も、俺だけを考えていてくれたらな、と。
「そうですね、私たちが主殿を大切に想う様に、主殿にもそう思って貰えたらそれ以上の喜びは無いでしょうな。」
「………もう良いか、俺は帰る。お前等は好きにしろ。」
せっかくだし皆で帰ろうよ!と大倶利伽羅を捕まえる燭台切に、それを見て笑う一期ー振。
俺もこいつ等も、主への気持ちは一緒か。
主の特別は渡せないが、こいつ等も主が喜ぶ物を上手く作れたら良いな、と思った。