第74章 君がため
「さぁ、今日は誰とお話しようかな?新しく来た子は皆、特になったって言ってたから、褒めてあげなきゃね!」
嬉しそうに部屋に戻る主。
それを見送って、座り直した燭台切が口を開く。
「えっと…皆、主ちゃんがこっちに来てから様子がおかしかったの、知ってるよね?」
「ええ、本丸では見ない辛そうなお顔や、作り笑いが増えてきた様に思います。」
「ああ、俺も気になってたんだ。‥大将、ここの土地の人間じゃないんだろ?」
「……薬もだ。あいつ、何を飲んでる?」
こいつ等、やはり主を良く見てるな。
「主はこちらへ来てからずっと悩んでいらっしゃった。理由を話せないのが心苦しい、と。…それを昨夜、燭台切が聞き出したらしい。」