第73章 帷
「怖い、おかしい、気持ち悪い…そう思うでしょ?だから、もうやめて欲しいって頼んだんだよ。そしたらね、殴られたんだ。‥走って走って走って、逃げ込んだ職員室でね。人間ってさ、軽く飛ぶのよね、お腹を力一杯蹴られて、私の身体は先生達の前で机にぶつかって止まった。」
すっかり冷たくなったこの手は、頼る事を諦めた手なのか…
そう思ったら、何も言えなくなった。
「親や先生が集まってて、あの後何か話し合ってたんだ。警察も来てた。……でね、渋々やって来たお父さんにね、言ったの。たすけてって、言ったのよ‥」
声が小さく震え出す。