第73章 帷
「………お、父さん、笑って言ったの。お前やるじゃねーか…って。あそこまで男を本気にさせるとか凄いねって、笑ってた。はは‥意味、わかんない、よね…」
深呼吸して、涙を拭う。
「それから、立場の弱かった私は転校させられて、病院では適応障害って言われたけど、薬飲みながら、なんとか卒業して働きながら専門学校へ行って、頑張って夢を叶えた。」
そこで終われば良かったのに…と、かたかたと震え、ぽろぽろと溢れる涙が止まらない。
「……父親と別れた母親は、私達姉妹を置いて突然居なくなった。父親も、もう関わるなって、この家と車とお金だけ渡して‥」
そうか、それで…
「で、でも夢が叶ったんだよね?それに妹さんは…」
窓から入る光で涙が光る。