第93章 白妙

「それで、何か解った事や楽しい事はありましたか？行く先々で主と色々話した、と聞きましたよ？」

「そうだなぁ、特に変わった事はした覚え無いんだよね。けど楽しかったよ！新入りの子としっかり話す事なかったから。」

「不動や三日月には、何か特別な事を言ったんじゃないんですか？」

特別？と呟いて首を傾げる。主は俺達に接する時は常に自然体の様だし、何も考えてはいないのかもな。

「ありがとうって言った。あ、でもこれはいつも皆に言ってるし特別ではないかな。」

「ありがとう？」

「そう、来てくれてありがとうって。それでね、不動君には小唄を歌ったの。三日月には今までの感謝をしたよ。」

そうか、それであいつら…

「小唄、調べたんですか？」

うん、ちょっとね‥そう言うと少し恥ずかしそうに俺の手を握る。