第93章 白妙
「俺の目の届かない所へ行かないで下さい。…良いですね?」
「‥っ、はい。約束するよ、ごめんなさい。」
「それと、ちゃんと考えて下さいね。待てと言われても、こればかりはいつまでも待てる自信がありませんよ?」
ぱくぱくと口を動かして言葉に詰まった主が小さく、はい‥と返事をする。
「…それより主、こんなに身体を冷やして‥全く、いつからこんな事をしようと企んでいたんです?」
冷たくなった指先を擦り、主を抱き上げて自分の膝の上に座らせる。温かい、と擦り寄って来た主をぎゅっと抱き締めた。
「ここの椅子を見付けたのが、来てすぐ。それから短刀ちゃん達と遊んでるうちに、長谷部を構いたくなっちゃって…」
「それで隠れてたんですか?」
「うん。」
髪を撫でると、すっかり冷えてしまっているのが解る。遊びに本気になり過ぎだ。