第93章 白妙
走り回っていた短刀達を止めて、主はどうしたかと聞くと、どうも一緒になって遊んでいる様だ。
短刀の遊びでも鶴丸の悪戯でも、一緒になってやるのは主らしい。が、いくら範囲が決まっているとはいえ、こんなに暗くなってからでは心配だろ。
「お前ら、これは何の遊びだ?いつもの鬼ごっこか?」
「え、おにごっこなんですか?かくれんぼじゃないんですか?」
「僕は主君に色鬼って聞きましたよ?」
「俺は大将に自分が鬼ってだけ聞いたぞ?」
「俺は主ば見付けたら、小判触らせてくれるっち言われたとよ?」
主が??何を考えてるんだ?いや、あの方の事だ、逆に何も考えてないという事もある。
「‥良いか、今から鬼探しだ。主を探せ!見付けた物には茶菓子を燭台切に作らせてやるぞ。博多、お前は小判の仕分けをさせてやる。」
そう言った途端、それぞれ目を輝かせ散って行く。…さて、俺も鬼を探すかな。