第93章 白妙
ぐるっと広場を見回すと、隠れられる場所は僅かなのが解る。遊具が向こうにあるが、向こう側には他の花見客が居るから無いだろうな。こちら側は城跡と堀、桜、小舟用の船着き場…か。
「長谷部、何してんだ?短刀達とかくれんぼしてんだろ?鬼が隠れるとか初めて聞いたなぁ。」」
「ん?御手杵、お前はどうして鬼を探しているのを知ってるんだ?」
空になった容器を持った御手杵がきょとんとして首を傾げる。
「何で?何でって、主と今まで話してたんだ。鬼だけど隠れてるってさ。」
「んなっ、主は今どこに?」
「あー、あっちだ。粟田口ん所へ行くって言ってたぞ?」
粟田口か、なら秋田達三人がもう見付けているだろうか?飲み過ぎるなよ、と御手杵に注意してから一期一振の元へ向かう。